【広告】当サイトはAmazonアソシエイト・プログラムに参加しており、本の紹介リンクから購入されると収入を得ることがあります。

ビジネス

「天職は一つ」は刷り込みだ。飽きっぽさは、設計すれば武器になる。

マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法エミリー・ワプニック

マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法

エミリー・ワプニック ・ Kindle版

Kindle版をAmazonで見る

※広告リンクです

ひとことで言うと多くのことに興味を持つ人=マルチ・ポテンシャライトの強みと、4つの働き方、生産性と不安への対処を示す本です。TEDで知られるエミリー・ワプニックさんが、一つに絞るコツではなく、絞らずに持続可能なキャリアを築く方法を語ります。

INTROどんな本か

はい、「大人になったら何になりたい?」問題です。

子どものころは楽しい質問だったのに、いつの間にか「一つに絞れ」という圧力に変わる。進路指導、専攻、採用面接。そして専門一筋の成功物語ばかりが美化される。

で、俺です。2021年の自己紹介の回で、ほぼ4年ごとに職業を変えてきた、と書いた。メディア、化粧品のパッケージとブランディング、東京でアパレルやウェブ、大阪でイベントと事業開発、そしてLIMITS。飽き性なのか、すぐ違う世界を見に行きたくなる。この本、ほぼ俺の取扱説明書です。笑

著者はエミリー・ワプニックさん。原書は2017年のHow to Be Everything(HarperOne)で、日本語版はPHP研究所から、訳は長澤あかねさん。2011年にマギル大学法学部を卒業し、Puttylike.comを創設した人です。TEDトークは550万回以上再生され、36言語に訳されたと、訳者あとがきにあります。

本人も、まさにその悩みの当事者でした。10代の恩師に「飽きては移る」パターンを指摘され、23歳ごろには音楽、アート、ウェブデザイン、映画、法律を渡り歩いた。熟達したころに退屈する自分を恥じて、天職のない欠陥人間では、と悩んでいたそうです。

芯はこうです。「天職は一つ」は、社会に刷り込まれたロマンにすぎない。多くのことに興味を持って創造的に探究する人を、著者はマルチ・ポテンシャライトと呼びます。

大事な断りが一つ。これは一つに絞るコツの本ではありません。絞らずに、持続可能で実りあるキャリアを築く方法の本です。

飽きっぽさは、性格の欠陥じゃない。一つに絞る前提で組まれた仕組みと、合っていないだけ。構造の問題です。

効くのは、興味が次々に移って「自分は飽き性だ」と責めている人。副業やパラレルキャリアを考えている人。それから、自己紹介のたびに肩書きの説明で困っている人です。

気質を直す本じゃない。気質に名前と使い道を与える本です。俺は、そこを推したい。

CHAPTERS章ごとの中身

第1章「天職は一つ」を疑う、絞らない人の定義

第1章は、楽しかったはずの問いが、一つに絞った答えを迫る重圧に変わっていく構造の説明から始まります。進路指導も採用面接もメディアも、「一つに絞れ」を強化している、と。

多くのことに興味を持って創造的に探究する人を、著者はマルチ・ポテンシャライトと呼びます。博学者、ルネサンス人、スキャナー、パティライクなど、類語の含意も整理されていて、自分に響く呼び名を選べばいい。性格診断ではなく、気質に名前を与えるための呼び名です。

同時並行でたくさんのプロジェクトを抱える型と、一つずつ順に移っていく型。その両端を持つスペクトラムで、どの型も正当だ、と言います。コンロのたとえがいい。4口コンロ、業務用の多口コンロ、キャンプファイヤー。火の数も使い方も違っていい。

社会は分野ごとの一直線のレールを想定するけど、著者の実際の道はジグザグでした。法律で鍛えた文章力はブログや申請書に、バンド経験はチームワークに生きている。無駄に見えた寄り道が、後で転用される。

俺も、美大予備校で受けた時間を区切った課題が、のちのLIMITSの原型になったと書いたことがある。紙の上ではでたらめでも、中身は案外つながっている。

課題は3つ。仕事、生産性、自尊心。以降の章は、この3つに順番に答えていく構成です。

第2章5つの強みと、「多芸は無芸」の検証

「多芸は無芸」型のことわざを、真面目に検証する章です。まず1万時間の法則への批判。あれは「スキルだけが重要」という前提に立つもので、創造性、工夫、情熱も同じくらい重要だ、と言います。

専門家とゼネラリストの役割も整理されます。心臓手術は専門医、慢性的な不調は全身を見る医師。どちらが上という話ではない。分野の交差点で、分野と分野の関係性を深く知ることが、マルチの専門性だとします。

5つのスーパーパワーは、統合、学習の速さ、適応力、大局観、通訳。統合の例が具体的で、化学専攻の二人が科学・植物・物語・デザインを融合してテラリウム店を開いた話や、ユタ州のホームレス支援「ハウジング・ファースト」が部外者の発想から生まれた話が出てきます。解決する人の顔ぶれが多様なほど、問題は解けやすい。

適応力は収入源の分散につながり、大局観は全体を見る力、通訳は専門家同士の言葉を橋渡しする力。ノーベル賞受賞者は一般の科学者に比べて、演技・ダンス・手品をする率が22倍だった、という研究も紹介されます。

2021年に俺が「クリエイティブジェネラリスト」と名乗ったときの説明は、分野を横断してプロジェクトをまとめ、相手と対話して方向を出す、だった。ほぼ「統合」と「通訳」の話です。足かせは変わり者であることではなく、情報の不足だ、という著者の言葉には、ほんまにそうやなと頷くしかない。

第3章幸せの条件は、お金・意義・多様性

全員に合う唯一の理想職はない、と最初に断ります。幸せで、経済的にも恵まれていると自認する数百人に共通していたのは、「お金」「意義」「多様性」の3つを、自分に合う分量で満たしていることでした。

お金は、必要な額が人によって大きく違う。自分の目標額と理由を決めないと、「もっと」が止まらなくなる。まず生活基盤を固める。生活のための仕事は夢の放棄ではなく、一時的な手段だ、という整理です。

意義は、活動中の高揚や没頭で分かります。サイモン・シネックの「なぜ」を掘り下げ、生き生きしていた瞬間を3〜5個挙げて、活動の中身ではなく魅力の理由を俯瞰する。「なぜ」は複数あっていいし、矛盾してもいい。

そして、すべての活動が稼ぐ必要も、意義深い必要もない。人生全体で満たせばいい。ここで肩の荷が下りる人は多いはずです。

多様性は、足りなければ退屈、多すぎれば余裕を失う。「多数↔一つ」の直線上で現在地と理想を比べ、実験して調整します。キャリアではなく人生全体を設計する本だと分かるのも、この章。「完ぺきな1日」を描く演習もあります。

2020年の「やりたいこと実現屋」で、職を転々としてもブレなかったのは「抽象的なことを具現化する」ことだった、と書いた。著者の言う「なぜ」を、俺はたぶんあのとき言葉にしていたんだと思う。

第4・5章一つの仕事で混ぜる型、掛け持つ型

Part2は4つの働き方です。幸せな人の大半は、このどれかに当てはまるそうです。組み合わせも切り替えも自由で、縛るためでなく出発点だ、とされています。

第4章のグループハグは、一つの多面的な仕事や事業の中で、多分野を行き来する型。異なる興味を混ぜる「スムーシング」と、5つの戦略(多分野にまたがる分野、分野内の居場所、柔軟な組織、今の仕事の多面化、起業)が示されます。テーマと商品の関係をはっきりさせれば、何屋か分からない事業にはならない、と。

第5章のスラッシュは、パートタイムや事業の掛け持ち。いわゆるポートフォリオ・キャリアです。情熱を統合せず別々に保ち、通常は2〜5個。生活苦の掛け持ちではなく、意図して選ぶものだと強調します。入り方は3つ。会社の仕事をフリーランスで続ける、副業の偶然から広げる、まず色々引き受けて後から絞る。

安定した2本が、不安定だけど意義の大きい1本を支える、という組み方の例も出てきます。これは個人の働き方だけでなく、会社の事業構成にもそのまま使える考え方です。

第6・7章ほどよい本業の型、数年ごとに移る型

第6章のアインシュタインは、特許局に約10年勤めながら特殊相対性理論などを出した、という例にならう型です。生活費が足りて余力も残る「ほどよい」本業に、情熱を注ぐ別の取り組みを組み合わせる。本業と趣味で使う頭の「モード」が違うと体力が残る、という指摘は鋭い。

第7章のフェニックスは、数カ月から数年ごとに業界を移り、一つずつ掘り下げる型。転身は共通の「なぜ」でつながっていて、移る時期の目安は、嫌悪の目盛りが5〜8。サインは怒りより退屈です。9〜10まで待つと、関係を壊したり、慌てて怪しい道を選んだりする。

未経験の業界へ移る戦略は6つ。今の人脈で紹介を得る、新しい人脈を作る、ボランティア、無償で働いてみる、講座・資格、応用のきくスキルを示す。独立型の連続起業家として、4社すべてを副業から育てた例も出てきます。

俺は、振り返るとこのフェニックス型にいちばん近い。嫌悪の目盛りは、もっと早く知りたかった道具です。笑

第8章優先と待機に分け、辞め時は簡単になった時

ここでの生産性は、目標に向けて前進する手立てのこと。働きすぎや効率至上は勧めません。

核は、興味を「優先プロジェクト」と「待機プロジェクト」に分けること。同時に動かすのは1〜5個が目安です。「一つに集中せよ」は合わないので、脱線はタイマーで区切った「試行錯誤の時間」で許す。禁止すると、優先の案件まで嫌になるからです。

時間はエネルギーの波に合わせる。義務で埋まっているなら「できる時に少しずつ」でいい。管理には柔軟型と計画型があり、期間を区切った集中(11月の小説執筆企画のような)が推進力になる、と言います。

辞め時の話は、本書でいちばん鋭いところかもしれません。辞め時は、難しくなったときではなく、簡単になったとき。プレスフィールドの「抵抗」と本当の終点を、身体感覚で見分ける。終点はやりきった感覚がじわじわ来て、抵抗は恐れと一緒に急に辞めたくなる。

取りかかる技として、ポモドーロ、フローに入る合図、3つのCが紹介されます。成果ゼロの日の対処も具体的で、期待値を下げる、ささやかな成功日記をつける、進捗を見せ合う相棒を持つ、の3つです。

第9章5つの不安と、「お仕事は何を?」の答え方

第9章は前提から始まります。家族や文化の声より、内なる批判のほうが害が大きい、と。

扱う不安は5つ。アイデンティティ(方向転換は当然で、仕事=自分ではない)。初心者の繰り返し(下手は上達の第一歩で、短時間を高頻度で)。一流になれない不安(現場で役立つことが大事で、否定されるまでは専門家を名乗ってよい)。詐欺師症候群(本物の詐欺師はこう悩まない)。外野の雑音(誰の声か確かめ、大事な人にだけ説明する)。

実用的なのが、「お仕事は何を?」への5つの答え方。一言版と詳しい版を用意する。正直に話す。まとめた肩書きを作る。「〇〇が〇〇するのを助けている」と目的で語る。質問自体を、相性のフィルターと見る。

俺は2021年に、肩書きはもう意味を為さなくなってきている、と書いた。ただ、ぼんやりして人に伝わりにくいのも自覚していた。肩書きでなく目的で語る。たぶん、これが答えです。

おわりに変わっていることを、隠さず売りにする

おわりには、著者の転機です。学内の起業コンテストで、教授に「変わった案であることを隠さず、売りにせよ」と言われ、長年隠してきた自分に許可が出た。以後、「自分のユニークさを売りにする」が信条になったそうです。

結論は、お金・意義・多様性を満たす型を自分仕様に組み、実験と調整を続けること。完成形を探すのではなく、調整し続けるのが答えです。

訳者あとがきは、働き方改革、副業解禁、AI時代にこの型の人が活躍すると述べ、訳者が娘に「将来何になりたいか」と聞くのをやめたと書いています。付録には、AI、生命倫理、教育設計、統合医療、出版、持続可能な開発、都市計画、UXなど、複数分野にまたがる分野の一覧。事例は著者の取材や紹介によるもので、数字も本書の記述の紹介です。

LESSONS明日から使える教訓

  1. 軸のブレより、経験の転用を見ろ過去の経験が、今の案件にどう使えるかで人を評価する。分野横断の人は、専門家チームのあいだをつなぐ調整役に置くと効く。事業づくり的にいうと、通訳できる人が一人いるだけで、会議の質が変わるってことです。
  2. 案件は、優先と待機に分けて見える場所に置け同時に回すのは1〜5個にして、脱線はタイマーで区切って許す。複数の事業を持つなら、始めた理由を書き残しておくと、撤退の判断が感情論にならない。目移りしやすい人ほど、この一枚の紙が効きます。
  3. 自己紹介は「誰の何を助けているか」で言え肩書きを並べるより、目的で語るほうが伝わる。一言版と詳しい版を用意しておく。俺的には、これがいちばん明日から使える。

CONCLUSION俺の結論

結論。飽きたことを恥じるな。何に飽きて、何には飽きなかったかを書き出せ。

興味を全部並べて、いま動かすものを1〜5個に絞る。残りは捨てずに待機に置く。辞めたくなったら、簡単になったからか、怖いからかを体に聞く。自己紹介は、肩書きではなく「誰の何を助けているか」で言う。

天職を一つ見つける人生もあれば、「なぜ」を一つ持って職を渡る人生もある。どっちも正当です。後者の人は、この本を手元に置いておけばいい。迷ったときに開く、自分用の地図として。

NEWS関連ニュース

この本のテーマについて、最近話題になったニュースです。

日本経済新聞 ・

副業時給は平均3617円 容認企業は64%、パーソル調査

パーソル総合研究所の調査(2025年8月実施)を伝える記事です。副業を容認する企業は64%で過去最高になり、副業者を受け入れる企業も29%に増えました。正社員の副業実施率は11%で、20代男性は20%です。副業の平均時給は3617円と調査開始以来の最高ですが、体調不良や仕事への支障を挙げた人も27%と過去最高でした。

この本とのつながり:本書の4つの働き方のうち、スラッシュ(掛け持ち)とアインシュタイン(本業+情熱の別活動)は、副業が広がる環境と重なります。一方で過重労働の指摘は、本書が勧めるエネルギーの波に合わせた設計と、無理をしない前提の大切さを裏づけます。

FOR YOUこんな人におすすめ

合わないかもしれない人:一つの専門を極める方法を探している人。本書は、はっきり絞らない側に立った本です。

FAQよくある質問

マルチ・ポテンシャライトとは何ですか?

多くのことに興味を持ち、創造的に探究する人を指す言葉です。特定の性格診断ではなく、気質に名前を与えるための呼び名で、博学者、ルネサンス人、スキャナーなどの類語も整理されています。

『マルチ・ポテンシャライト』は何が書いてある本ですか?

エミリー・ワプニックさんが、多くのことに興味を持つ人の強み、4つの働き方、生産性と不安への対処を示した本です。一つに絞るコツではなく、絞らずに持続可能なキャリアを築く方法を扱っています。

5つのスーパーパワーとは何ですか?

統合、学習の速さ、適応力、大局観、通訳の5つです。分野を掛け合わせる力や、専門家同士の言葉を橋渡しする力などが、マルチの強みとして挙げられています。

幸せに生きる条件は何ですか?

幸せな人に共通していたのは、「お金」「意義」「多様性」を自分に合う分量で満たしていることです。すべての活動で満たす必要はなく、人生全体で満たせばよいとされています。

4つの働き方とは何ですか?

グループハグ(一つの多面的な仕事)、スラッシュ(掛け持ち)、アインシュタイン(ほどよい本業と情熱の別活動)、フェニックス(数カ月〜数年ごとに業界を移る)の4つです。組み合わせも切り替えも自由です。

複数のことに手を出して、生産性を保つ方法は?

興味を「優先プロジェクト」(同時に1〜5個)と「待機プロジェクト」に分け、脱線はタイマーで区切った時間の中で許します。エネルギーの波に合わせて時間を使うことも勧められています。

辞め時はどう判断しますか?

難しくなったときではなく、簡単になったときが辞め時だとされています。本当の終点と「抵抗」を身体感覚で見分けるほか、嫌悪の目盛りが5〜8になったら次の準備を、という目安も示されています。

「お仕事は何を?」とどう答えればいいですか?

一言版と詳しい版を用意する、まとめた肩書きを作る、「〇〇が〇〇するのを助けている」と目的で語る、などの5つの答え方が示されています。質問を相性のフィルターと見る、という考え方もあります。

この本は誰に向いていますか?

興味が次々に移る人、副業や複数の仕事を持つ働き方を考えている人、肩書きの説明に悩んでいる人に向いています。一つの専門を極めたい人には、合いにくい本です。

この本の注意点はありますか?

事例は著者の取材や紹介によるもので、検証されたデータではありません。また、仕事の掛け持ちは収入や体力への負担もあるので、自分の状況に合わせて調整する前提で読んでください。

MONOGENIC伊丹谷のブログから

ご注意:自己啓発・キャリアの本の紹介です。事例や数字は本書の記述の紹介で、当サイトで検証したものではありません。図の一部は文章の説明で内容を確認しており、謝辞に出てくる個別の人名は取り上げていません。

Kindle版をAmazonで見る

本文は書き写さず、自分の言葉で紹介しています。内容に誤りがあれば、本でご確認ください。 当ページのリンクはAmazonアソシエイト(広告)です。詳しくは広告について。

SIMILAR似たテーマの本