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ビジネス

落ち着きのなさは、これからの才能だ。ただし、睡眠だけは削るな。

多動力堀江 貴文

多動力 (NewsPicks Book)

堀江 貴文 ・ Kindle版

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ひとことで言うと堀江貴文さんが、異なることを同時並行でこなす力=多動力を説く本です。肩書きの掛け算、見切り発車、やらないことを決める、自分の時間の取り戻し方、睡眠、恥のかき方まで、31項目で語ります。断定は強めで、一つだけ持ち帰る読み方が合う本です。

INTROどんな本か

はい、あの堀江貴文さんの本です。先に言っておくと、中身はかなり断定的です。

幻冬舎とNewsPicksの共同企画で、副題は「全産業の“タテの壁”が溶けたこの時代の必須スキル」。本文には2017年2月の出来事が出てきます。

テーマは「多動力」。異なることを同時並行でこなす力のことです。落ち着きがなく、忘れっぽい。通信簿に書かれたら、普通は怒られるやつやん。昔は欠点扱いだったその性質が、これからは最重要の能力になる、と著者は言います。

理由はシンプルで、ネットが産業のあいだの壁を溶かしたから。ネットは水平分業型、テレビ局は垂直統合型。スマホの上では、すべてのサービスが同じ層で競い、主役が数年で交代する。IoTで業界の境目も消えて、価値を持つのは業界を渡り歩く「越境者」だ、という前提です。2017年の本としては、かなり先を見ていた整理だと思う。

構成は全31項目。各項目は、見出し、POINT(要旨)、本文、そして「やってみよう!(JUST DO IT)」という型で、サクッと読めます。どこから開いても置いていかれない。

俺は2021年の「仕事」の回で、仕事と個人の境界線は全くない、例外はクルマのゲームをしている時だけ、と書いた。笑 仕事とは何かと聞かれて、人生最大の暇つぶしです、とも。この本のおわりにある、仕事と遊びの境目が消える、という結論とは、ほぼ同じ場所に立っていると思う。

忙しさは、量の問題じゃない。他人に時間を握られている、という構造の問題だ。この本の芯は、そこにあります。

効くのは、仕事を抱え込んで時間が足りない人、会議や電話に振り回されている人、そして、一つの肩書きに縛られていると感じている人です。

ただし、売上や部数などの数字や出来事は著者の自己申告です。主張も個人の経験と信念で、睡眠を削らないこと以外は、全員に当てはまるとは限りません。

俺は、この本は鵜呑みにする本じゃなく、一個だけ持ち帰る本だと思う。31個のうち一つ、明日から変えれば、それで元は取れる。

CHAPTERS章ごとの中身

はじめにネットが溶かした業界の壁と、越境者

多動力とは、異なることを同時並行でこなす力のこと。落ち着きがなく忘れっぽい性質は、昔は欠点扱いだったが、これからは最重要の能力になる、というのが著者の主張です。イーロン・マスクを「着替えも終わらない3歳児」になぞらえる冒頭の比喩が、もう象徴的。

根拠は著者自身の経験です。1996年、東大在学中にオン・ザ・エッヂを設立し、初年度から多くの業種の案件を横断した。そこで、ネットが全産業を貫く基盤になると確信した、と。

スマホの上では全サービスが同じ層で競うので、主役が数年で入れ替わる(グリーやモバゲーからLINE、メルカリへ)。IoTでは、接続機器が2014年の38億から2020年に200億超へ増える見通しで、テレビの競合は恋人のLINEになり、自動運転で車は動く椅子になる。業界の境目が消えるから、価値を持つのは業界を渡る「越境者」だ、という理屈です。

各項目は、見出し、要旨(POINT)、本文、実践チェック(やってみよう)の型で書かれていて、31項目を8章に分けています。

第1章修業は要らない、肩書きは掛け算で希少になる

01は、ツイッターでの寿司修業批判の炎上が起点です。昔は技術を親方が独占し、下積みでしか継承できなかった。今は公開・共有・改良が前提で、情報自体の価値はゼロに近い。だから長い修業は「車輪の再発明」だ、と言います。例は、専門学校3か月で開店し、11か月でミシュラン2016のビブグルマンを得た大阪の鮨店の店主です。

「車輪の再発明」は、俺も2021年の「ゼロイチ」の回で、これだけは避けたいと書いた言葉です。既にあるものに行き当たるなら、最初から問題にならない。ここはほんまに同意です。

02は、藤原和博さんの「レアカード」論を借ります。1万時間(1日6時間を5年)で100人に1人、二分野で1万人に1人、三分野で100万人に1人。代わりがいる限り値段は上がらないので、肩書きを掛け算して希少になれ、という話です。

例は、記者、編集者、事業開拓を兼ねる佐々木紀彦さん。掛け合わせる分野は遠いほど希少で、著者自身はロケット、飲食、マンガ、サロン、服役経験まで、無数の肩書きを持つと述べます。実践欄は、肩書きを書き出して、欲しい肩書きに1万時間を捻出する計画を立てる、です。

第2章完璧より完了、準備より見切り発車

03のタイトルは「ベストセラーはコピペ本」。著者は月1冊ペースで累計100冊近くを出していて、多くは約10時間の聞き書きで、漫画の分業と同じだと言います。30万部近い『本音で生きる』(2015年末)も過去の発言の焼き直しで、取材なしでも作れたと。核となる文章はメルマガとHIUに置き、本はそこから引く。1年凝った本が1万部未満の例を挙げて、時間をかければ品質が上がる、は思い込みだとします。

04は、手作り弁当より冷凍食品のほうがうまい、という挑発的な題。共働きの親が手作り弁当に固執して疲弊しては本末転倒、という主張です。大事なのは「たまに」手を抜くことで、メッシも試合の大半を流して勝負所で決める。目指すのは完璧でなく「完了」。

05は見切り発車です。2017年2月4日に六本木で開いた「ホリエモン祭」は、始動が約2か月前、運営は素人のHIUメンバーで、それでも成功した。集客も責任も赤字も恐れる大人は、プロ不在で成り立つ学園祭を忘れている。5年準備するより、5年試行錯誤したほうが質も集客も上だ、と。

俺も「失敗しながら進む」を自分のポリシーだと書いてきた側なので、ここは頷くしかない。クライアントは不安になるかもしれないけど。笑

第3章一つにハマり、飽きたら次へ移る

06の要旨は、何百ものことにハマるには、まず一つに偏って極端にハマれ、です。一つへの没頭で得た好奇心と集中力は、他分野に転用できる。日本の「バランス教育」は没頭を矯正して、やりたいことのない大人を生む、と言います。著者自身、ゲームの「イース」や「ソーサリアン」への没頭が、のちのゲーム、アプリ、サロン運営の発想に生きているそうです。

07は、飽きっぽい人ほど成長する。飽きは、慣れて余裕ができた印で、成長が速い証拠だ、と。どの分野も8割までは早く、満点に近づくほど時間とコストが膨らむ。ゴルフの例が出ます。福岡県八女市の田舎で百科事典を読みふけり、教師をしのぐ知識を得た少年期の話もあって、ジョブズを引き、80点の持ち駒を多く持つ人が強い、とまとめます。

飽き性なのか、同じことを長く続けられない。2021年に自分でそう書いた人間としては、ちょっと救われる項目です。

第4章電話と会議を断って、自分の時間を取り戻す

第4章のリードは、他人に支配された時間を生きる限り、好きなことに届く前に人生が終わる、です。

08は、経費精算を自分でやるサラリーマンは出世しない。著者はホテル暮らしで家事をせず、掃除を人生から外した。家事代行を挙げて、「金持ちだから」は思考停止で、自分の1時間がそれ以下なら価値を上げよ、と説きます。測るべきは時計の時間でなく「体感時間」だ、と。

09は、電話をかけてくる人間とは仕事をするな。電話は一方的に時間を奪う前時代の道具で、作業が中断されてリズムが崩れる。日程調整や連絡は、メールやLINEなどの非同期で足りる、と。10は、大事な会議でスマホをいじる勇気。会議の大半は密度が低いので、隙間で情報収集や返信をするほうが効率的だと言い、職場の「風紀委員」に屈するな、と続きます。

11と12は、付き合わない人と受けない仕事の話。初対面で面倒だと感じる勘はたいてい当たる。地方講演の早すぎる入りや、名刺交換の行列、無意味な事前打ち合わせには付き合わない。ここは断定が強いので、組織にいる人は「時間の主導権を持つ」という芯だけ取るのが無難だと思う。

13は『君の名は。』がヒットした理由。現代人は無駄な時間に耐えられない。スマホが隙間を埋め、2分の空白も退屈になる。同作は1時間47分に収めて、余分な場面を削った(監督とプロデューサーの判断と推測)。

第5章原液を作って、分身に働かせる

14では、人は「原液」を作る側と、薄める側に分かれる、と言います。差は努力量でなく原液の有無。著者はテレビ出演を絞っているのに、ツイッターで炎上した発言が番組で議論され、顔写真も映るので、よく出ているように見える。それが本やメルマガやHIUへの入口として、無料の広告のように効く。カルピス原液の比喩で、一次の主張が薄まりながら広がり、本人が動かなくても分身が働く構図を示します。

15は、教養がない者は奴隷になる。原液を作るには、時代が変わっても揺るがない本質が要る。2006年のライブドア事件で逮捕された著者は、検察を歴史から調べ、摘発と世論、マスコミの連動という構図をつかんだ、とあります。そして『サピエンス全史』を体系的な教養書として推す。俺も2020年に、この本に人生観が変わったくらい影響を受けたと書いているので、ここは一票入れておきます。

16は、知らないことは恥ではない。専門外の情報は、その場で検索するか、人に聞けばすぐ得られる。ただし基礎教養がないと、良い質問はできない。17は質問力で、ダメな質問の5類型(ネットで分かる、論点が混在、前提が不明、前置きが長い、答えが決まっている)が挙がります。対処は「聞きたいことだけを明確・簡潔に」。

18は、99%の会議はいらない。ネコの殺処分の相談を例に、感情論や目的と手段の混同では何も決まらないと指摘します。聞き取ると、殺処分は年20万匹から8万匹に減ったがなお多い、飼い主や近隣住民が保健所へ持ち込む、保健所にはコスト負担が重い、という事実が出てきた。情報が揃えば打ち手はすぐ出る。三原則は、問題を明確に、情報を集める、感情を排す、です。

第6章スマホとリズムと即レス、睡眠は削らない

第6章のリードは、速い人と遅い人の差は物理的な速さではなく「リズム」だ、です。

19は、すべての仕事はスマホでできる。忙しさの原因は量ではなく、電話や通勤などの無意味な時間。20は、仕事の速さはリズムで決まる。突然の電話や話しかけ、重いパワポやPDFの添付(本文に貼れば済む)、時候の挨拶つきの長文メールがリズムを乱す、と。

21は返信の速さ。幻冬舎の見城徹さん、サイバーエージェントの藤田晋さんもレスが極めて速く、著者もメールやLINEは見て10秒で返すのが基本だそうです。朝の受信箱はまず重要度で仕分けし、ゴミは即削除、重要なものから指示と返信。災害医療のトリアージのような優先順位付けを、どの仕事にも、と言います。

22は、長野刑務所でもPCやスマホなしで、週刊メルマガを一度も休まなかった話。続くのはマメだからではなく、ストレスがかからない仕組みを作っているから。23は1晩10軒以上のハシゴで、評価が玉石混交のグルメサイトへの不満から、グルメアプリ「TERIYAKI」を立ち上げた話が出ます。

そして24。仕事の質は睡眠で決まる。多動力のために睡眠を削るのは本末転倒で、よく眠るからこそ過密日程をこなせる。最低6時間、望ましくはベッドで8時間。睡眠不足自慢は緩やかな自殺行為に近い、とまで言います。俺は、この項目がいちばん万人に効くと思う。改めるべきは睡眠でなく仕事のやり方だ、という筋が通っているからです。25は、獄中で身につけた、挑発を受け流す力の話。

第7・8章恥をかき、手を挙げ、目的を持たない

第7章の前提は、仕事術を学んでも動けないのは、「人にどう思われるか」という感情がブレーキだから、です。26は、恥をかいた分だけ自由になれる。他人はあなたに興味がなく、著者の逮捕すら多くの人は忘れている。恥をかくほど免疫がつき、リスクを取れる、と。27は、小利口はバカに勝てない。リーダーはリスクを考えず、真っ先に手を挙げる「バカ」でよく、周りの小利口が支えてくれる。失敗も多い、と本人が認めているのがいい。

第8章の28は、永遠の3歳児たれ。3歳児は誰でも多動力の塊なのに、大人になる過程で矯正される。29は、資産が人を駄目にする。資産や資格を生かそうとすると動きが遅くなるので、やりたいことが先。投資家の藤野英人さんとの対談から、1000万円の株が200万円になったら損は忘れて、今200万円でこの株を買うかで判断する、という話も出てきます。30は、ハワイに別荘なんてもつな。

31は、人生に目的なんてない。海外に行くのも、毎日人と食事するのも、面白いからというだけ。1日24時間をわくわくで埋めることが本書のすべて、と言い切ります。

おわりにでは、順序をこうまとめます。自分の時間を取り戻し、効率化の工夫をし、リズムよく進め、元になるものを作って、自分が動かなくても分身が働く状態にする。そうすれば仕事と遊びの境目が消える。読むだけでなく実践し、転んでもまたやれ、で締め。ここまで言い切られると、むしろ清々しい。

LESSONS明日から使える教訓

  1. まず「やらないこと」を決めろタスクを棚卸しして、外注やツールに渡せるものは手放す。自分にしかできない仕事だけが、肩書きの掛け算の材料になります。事業づくり的にいうと、足し算の前に引き算から始めろってことです。
  2. 完璧でなく完了で回し、浮いた時間で試せ資料は完了基準で回して、浮いた時間を新規案件の試行に充てる。イベントや新サービスは短期の見切り発車でも成立し、毎回の試行錯誤で質を上げていける。準備に5年かけるより、5年回すほうが強い。
  3. 睡眠だけは削るな最低6時間、望ましくは8時間。本書でも、ここは例外なく言い切られています。俺は、この一項目だけでも手に取る価値があると思う。

CONCLUSION俺の結論

結論。今日、一個だけ「やらないこと」を決めろ。

電話を一本、メールで済ませる。出なくていい会議を一つ断る。浮いた時間で、ずっと気になっていたことに少しだけ手をつける。ただし、睡眠は削らない。そこを削ったら、全部が台無しになる。

31個全部をやる必要はない。他人に握られていた時間を一時間でも取り戻せたら、この本の元は取れている。そこから先は、飽きるまでハマって、飽きたら次へ行けばいい。落ち着きのなさは、そのためにある。

FOR YOUこんな人におすすめ

合わないかもしれない人:一つの仕事をじっくり深めたい人や、堅実な手順を求める人。主張は個人の経験と信念で、かなり断定的です。

FAQよくある質問

『多動力』とは何ですか?

異なることを同時並行でこなす力のことです。落ち着きがなく忘れっぽい性質は昔は欠点扱いでしたが、ネットが産業の壁を溶かした今は最重要の能力になる、と本書は主張しています。

『多動力』は何が書いてある本ですか?

堀江貴文さんの仕事術・生き方の本で、全31項目あります。肩書きの掛け算、見切り発車、やらないことを決める、睡眠、恥をかくこと、目的を持たないことなどが語られています。

「三つの肩書きで価値が1万倍」とはどういう意味ですか?

藤原和博氏の「レアカード」論を引いて、1万時間を積んだ分野が一つで100人に1人、二分野で1万人に1人、三分野で100万人に1人になる、という考え方です。掛け合わせる分野が遠いほど希少になります。

「越境者」とは何ですか?

業界の境目を渡り歩く人のことです。IoTなどで業界の境目が消える時代に、価値を持つのは越境者だと本書は述べています。

「完璧でなく完了」とはどういうことですか?

全部を100点で作ろうとすると続かないので、たまに手を抜き、完了を優先するという考え方です。メッシが試合の大半を流して勝負どころで決める例が挙げられています。

睡眠については何と書かれていますか?

仕事の質は睡眠で決まる、と書かれています。最低6時間、望ましくは8時間で、睡眠不足自慢は緩やかな自殺行為に近いとまで述べています。

どんな人に向いていますか?

仕事を抱え込んで時間が足りない人、会議や電話に振り回されている人、複数の分野を掛け合わせたい人に向いています。堅実な手順を求める人には合いにくい本です。

この本の批判や注意点は何ですか?

断定的な主張が多く、売上・部数・人数などの数字は著者の自己申告です。睡眠を削らないこと以外は、すべての人に当てはまるとは限りません。

ネットの「水平分業」と「垂直統合」の違いは?

ネットは層ごとに分かれて競う水平分業型で、テレビ局は制作から放送まで一社で行う垂直統合型です。垂直統合は寡占で革新が遅い、と本書は整理しています。

全部を実践しないといけませんか?

本書自身は実践を強く促しますが、主張は個人の経験と信念です。自分の仕事に合うものを一つ選んで試す、という読み方が現実的です。

MONOGENIC伊丹谷のブログから

ご注意:著者の主張が強い仕事術の本で、紹介される事例や数字(売上、部数、人数など)は著者の自己申告です。当サイトで検証したものではありません。睡眠不足や極端な働き方を勧めるものではなく、すべての人に当てはまるとは限りません。発行年は奥付で確認できていませんが、本文に2017年2月の出来事があります。

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本文は書き写さず、自分の言葉で紹介しています。内容に誤りがあれば、本でご確認ください。 当ページのリンクはAmazonアソシエイト(広告)です。詳しくは広告について。

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