【広告】当サイトはAmazonアソシエイト・プログラムに参加しており、本の紹介リンクから購入されると収入を得ることがあります。

社会

事実の本ではない。人がどこで道を誤るかを、本人の言葉で読む本だ。

死なばもろともガーシー(東谷義和)

死なばもろとも (幻冬舎単行本)

ガーシー(東谷義和) ・ Kindle版

社会・経済・科学インターネットノンフィクション芸能自伝
Kindle版をAmazonで見る

※広告リンクです

ひとことで言うと借金と告発から国外へ出た著者が、アテンダー稼業の来し方と暴露に至った動機を、全編関西弁で語る自伝的な本です。内容は著者の一方的な主張で、当サイトでは検証していません。信用・借金・依存の失敗例として、距離を置いて読む一冊です。

INTROどんな本か

先に言っておく。これは、取り扱いに注意が要る本だ。

著者は、暴露系YouTuberとして知られたガーシー(東谷義和)さん。幻冬舎の単行本で、2022年7月に発行された。縦書きで、全編が関西弁の語り。表紙には「令和のダークヒーロー」「善か悪かは読者が決める」とある。付録に夜遊びガイドとグルメガイドが付くが、ここでは内容を省く。

本書に出てくる実在の人物や出来事は、すべて著者の一方的な主張だ。当サイトでは検証していない。だから、個別の実名や告発の中身は、この紹介には書かない。

俺は2021年に、本に書いてあった、あの人が言ってた、という権威はだいたい幻だ、と書いた。この本は、その読み方がいちばん必要になる種類の本だと思う。書いてあることを事実として受け取るのではなく、一人の人間の自己申告として読む。

中身は、2021年12月に国外へ出た場面から始まる。著者は、芸能人に会わせると持ちかけて女性たちから集めた数千万円を、賭け事で失ったと自ら書いている。そこから、ギャンブル依存の内側、借金、父の死、アテンダー稼業、暴露の動機、参院選出馬の報道までが続く。

読む価値があるとしたら、暴露の中身ではない。信用、借金、依存。人がどこで道を誤るのかを、本人の言葉でたどれる点だ。信用を積み上げた話と、預かった金に手を付けてそれを失った話が、同じ一冊に並んでいる。

動機の書き方も、構造として読める。著者は、27年間アテンダーとして尽くした芸能人らに見捨てられた恨みを、暴露の動機に挙げる。俺が「期待値のズレ」で書いた、怒りは相手への期待と現実の差から生まれる、という構造が、極端な形で出ている例だと思う。

この紹介は、本書に出てくる違法行為(詐欺、違法賭博、反社会的勢力との関わり、国外への逃走など)を、勧めたり肯定したりするものではない。「国外なら日本の法律は及ばない」といった本書の見方も、参考にしないでほしい。

ギャンブルや借金、自殺念慮で悩んでいる場合は、専門の相談窓口に話してほしい。そうした話題が、本人の語りとして出てくる本だ。

反面教師として読む。この本から持ち帰っていいのは、それだけだと思う。

CHAPTERS章ごとの中身

構成序章から第7章まで、すべて著者の一人称

縦書きで、全編が関西弁の語り。章立ては、序章「ジョーカー誕生」、第1章「逃亡者」、第2章「しゃべりだけで成り上がる」、第3章「芸能界への扉」、第4章「アテンダーという裏稼業」、第5章「酒と女とカネと反社」、第6章「死なばもろとも」、第7章「社会の不満が生んだ怪物」。夜遊びガイドとグルメガイドの付録は、ここでは扱わない。

本書の記述は、すべて著者の自己申告だ。実在の人物や出来事についての話は未検証なので、個人名も告発の中身も書かない。以下は、著者自身の経歴と行動、考え方、本の組み立てに絞った紹介になる。

語りの勢いは強い。だからこそ、どこが本人の説明で、どこが確かめようのない主張なのかを、読む側が分けて持っておく必要がある。

序章・第1章出国の経緯と、ギャンブル依存の内側

序章は、2021年12月17日にドバイへ出国した場面から始まる。人気YouTuberに告発され、追い詰められていた時期だ。著者は、芸能人に会わせると持ちかけて女性たちから合計数千万円を集めたのは事実で、そのカネをバカラに注ぎ込んで溶かした、と自ら書く。

所持金はほぼゼロ。親戚に頼み込んで、口座に10万円が入った程度だったという。動機は、27年間アテンダーとして尽くした芸能人らに見捨てられた恨み。自分は正義ではなく悪党だが、悪党だから裁けることがある。そういう開き直りの構図が、ここで示される。

第1章の中心は、ギャンブル依存の内側の描写だ。競馬などの公営ギャンブルには興味がなく、違法カジノのバカラと高レート麻雀に没頭した。勝っても止められず、手元資金ゼロで賭ける状態にまで至った。10万でも1000万でも本質は同じで、倍々で取り返せると錯覚し、質屋通いまでした。依存の心理を、本人が自己分析する形になっている。

2020年2月には、知人の俳優から手書きの借用書で6000万円を借りた(返済期限は2021年10月末)と書かれる。仕事のマージンなども全て博打で失い、コロナ禍の孤立が拍車をかけた、とされる。

父は高校教師で、やはりギャンブル依存から闇金に追われ、自ら命を絶った、と語られる。著者自身も、自殺を考えたと書く。数人の友人に別れのLINEを送ったあと、知人のミュージシャンからの電話で母を思い出し、踏みとどまった。

依存を意志の弱さの話として片づけると、たぶん何も学べない。勝っても止まれない。取り返せると思い込む。その順番で人が崩れていく記録として読むべき章だと思う。

第1章後半被害届、出国、ドバイでの日雇い生活

実名を晒したあと、ネットで実家が特定され、母も被害に遭った、と著者は書く。西淀川警察署から不在着信があり、被害届が出たと察して弁護士に相談した。全額弁済なら不起訴の可能性もあるが、50歳で最悪5年の服役もあり得る、と言われたという。

逮捕状が出る前に、査証不要で犯罪人引渡条約のない国を探し、PCR陰性証明を即日取得して、その夜に出国した。法的な見通しは、著者個人の理解によるものだ。弁済ではなく出国を選んだ。その判断が、この本全体の分岐点になっている。

ドバイでは、1泊500円の簡易宿を転々とし、資金が尽きると皿洗いや肉体労働の日雇い(12時間で約3000円)で食いつないだ。借金返済には程遠い。暴露本の出版話は最初は断ったが、年末年始に連絡したタレントたちの冷たい反応で決意した、と書かれる。日本料理店の寮でモロッコ人と相部屋になり、そこで初回を収録した「東谷義和のガーシーch」が、本人の言う第二の人生の始まりだ。

第2〜3章しゃべりと人脈だけを資本にした来し方

著者は1971年10月6日、兵庫県伊丹市の生まれ。周辺の不良同士の抗争が日常だった少年期から、10代は走り屋、17歳から自活、と語る。バブル期のディスコで女性を集め、富裕な社長に紹介して報酬を得たのが、アテンド業の原点だという。

阪南大学ではイベントサークルを立ち上げ、女子大の入学式でビラを撒いて大規模パーティを主催した。酒は飲まず、強引に飲ませるやり方は嫌悪し、トークだけで勝負した。場数がすべてだ、というのが持論だ。

卒業後の自動車ディーラーでは、マニュアルを無視して初日に3台売り、叱責されて退職。ゼミの恩師から100万円を借りてイベント会社を作るが、失敗する。その後、中古車オークションに参入し、1995年の阪神・淡路大震災で車が不足したことで、23歳で月の純利益が3000〜4000万円になった、と書く。メーター巻き戻しなど、今なら違法な手口があったことも自認している。稼ぎはキャバクラや裏カジノで消え、1〜2年に約2億円を溶かした。

第3章では、芸能界と地続きになった経緯が語られる。ナンパ目的のサークルを5年ほど運営し、90年代の携帯に7000〜8000件の連絡先を蓄えた。グループ分けやタグ付けで管理し、一斉連絡で即座に人を集めた。1998〜99年ごろ、大阪でレギュラー番組を持つ人気芸人と知り合い、来阪のたびに飲み会を仕切る役になったのが、アテンダー業の始まりだった。

車の改造を請け負い、小さな仕事も相手が喜ぶよう丁寧にした。一度築いた信用は崩れにくい、というのが持論だ。第3章の核は、忖度と恩義は違う、という言葉。損得で結ぶ忖度の関係は弱く、真心の恩義は強い、とある人物に教わったと書く。父の死の際に多忙なその人が焼香に来たことを一生の恩とし、世話になったのに手のひらを返した者は暴露し、恩人の秘密は守る。この線引きの説明にもなっている。

信用は崩れにくい、と書いた同じ人が、預かった金で信用を失っている。俺は、この本のいちばん大きな矛盾はここにあると思う。

第4〜5章アテンダーという裏稼業と夜の経済

著者の定義では、アテンダーは、経営者・芸能人・アスリートの「会いたい」という需要に応えて場を作り、問題が起きれば裏で処理する黒子だ。女衒(人身売買・中抜き)とは違う、と強調するが、これは著者の主張である。

心得として挙がるのは、飲ませすぎない、潰れたら水を勧めてタクシーで送る、盗撮・盗聴を疑えば問い詰めて消させ出入り禁止にする、など。週刊誌対策は、入りと出を分ける、奥の個室を使う、従業員用の動線を使う、自分も同席してただの飲み会に見せる。27年間、アテンドが記事になったことはないと誇っている。

弟子入り志願のDMが殺到するが取らない。なるなら、まず大阪・名古屋・福岡など地方都市で名を売り、信頼を得てデータベースを作れ、とも言う。心構えは、目の前の客のために代わりに怒ることができるか、だという。

収入源は、アテンドそのものではなく店舗経営だと述べる。六本木のバーは月1500万円売ったことがあり、すすきの、大阪、沖縄にも出店した。夜の経済の周辺として、みかじめ料、タニマチ、違法な賭け麻雀(社長麻雀)、売れない芸能人の困窮などが、当事者の目線で描かれる。違法な賭け事は、勧められるものではない。

第5章の締めに近いところには、モテる条件は余裕、という語りがある。がっつかない、早めに帰る、初対面ですぐ連絡先を交換しない、といった友人の流儀の紹介だ。

語り口は手引き書のようだが、これは成功の型ではない。外からは見えなかった業界の一部を、当事者の一方的な語りで記録したものとして読むのが妥当だと思う。

第6章失うものがない者の強さ、という主張

章題の「死なばもろとも」は、失うものがない者の強さ、という意味で使われる。ドバイ潜伏の初期、首に3億円の賞金がかかり殺し屋が来たと警告された、と語る。相手の目的はカネだと読んだ、という話も、著者の主張である。

YouTubeの開設は2022年2月で、登録は120万人超。目立つほど、消されたときの反響が大きくなり、手が出せなくなる、と考えているという。私怨から公の告発の段階へ、と自らの活動を位置づけ、匿名の週刊誌を批判し、顔と名前を出す個人メディアの時代だと主張する。

ケンカの極意は、強さとは失うのを恐れないこと、大将を直接狙わず周りの有力者を一人ずつ倒して孤立させること。吉川英治の『三国志』を勧め、ビジネスにも役立つと言う。10代の大阪で度胸がついた話、不良集団に囲まれて鼻を折られた話、免許取得5日目に車ごと崖から落とされて無傷だった話も出てくる。

引渡条約について、日本が結ぶのは米国と韓国だけで、自分に送還の心配はない、と主張する。位置情報を偽装した話もある。こうした法の解釈は著者独自のもので、参考にしてはいけない。

章は、覚悟を決めればどん底からでもやり直せる、という読者への言葉で締まる。失うものがないことは、強さに見える。ただ、それは守るものを持たない状態でもある。俺は、この章はその危うさごと読む必要があると思う。

第7章支持の自己分析と、一日1000件のDM

支持の理由を、著者は、(1)権力に居座る老害への不満、(2)調子に乗った人への不満、と自己分析する。自分は日本の閉塞感と格差の鏡だ、という見方だ。ファンの4割前後が50〜60代で、真面目に働いても報われない世代が支持している、とも書く。

2022年7月の参院選への出馬の打診、国外からの立候補の前例、遠隔の選挙運動、不逮捕特権にも触れる。

実務的に読めるのは、DMの話だ。睡眠は3〜4時間で、起床後2〜3時間を返信に充て、平均1日1000件。街頭演説より、1対1の返信のほうが心を動かす、と語る。直接聞くことで、人々の求めるものと不満が見えた、とも。

チャンネルを「一人テレビ局」と呼び、スポンサーへの忖度がないのが強みだと言う。結びは、この国に不満がある限り、第二・第三のガーシーが出る、というもの。2022年7月の当選報道の見出しも本文に引かれている。

支持の理由を、本人は社会の不満だと分析する。ただ、不満が誰かの暴露で一時的に晴れても、不満の元になった構造は残る。俺は、そこまで含めて、この本を一つの時期の記録として読んでおきたい。

LESSONS明日から使える教訓

  1. 預かった金には、手を付けるな預かり金や他人の金に手を付けた瞬間に、それまでの信用は全部消える。著者自身も、それを認めている。俺は、この本から持ち帰るべきなのはこの一点だと思う。
  2. 高額の貸し借りは、書面と第三者で固めろ手書きの借用書だけの高額な貸し借りは危うい。書面、返済条件、第三者の確認を整える。反社会的勢力や違法な賭博、グレーな金の受け取りは、露見したときの損失が大きすぎる。
  3. 小さな仕事の丁寧さで、信用を積め連絡先を属性で分けて管理し、小さな仕事も相手が喜ぶよう丁寧にする。そうして積んだ信用が、次の客を連れてくる。事業づくり的にいうと、顧客管理の基本はここにある。ただし、積んだ信用は一度の裏切りで消える。

CONCLUSION俺の結論

結論。信用は、積むのに年月がかかる。失うのは、預かった金に手を付けた一回で足りる。

この本を、暴露の中身を知るために読む必要はない。読むなら、人がどこで止まれなくなるのか、その順番を確かめるために読む。勝っても止まれない。取り返せると思い込む。返す代わりに離れる。

そして、本に書いてあることを、そのまま事実として受け取らない。自分の目で確かめられないことは、確かめられないものとして置いておく。この種の本とは、その距離で付き合うのがいいと思う。

FOR YOUこんな人におすすめ

合わないかもしれない人:書かれた内容を事実として知りたい人。本書は著者の一人称の自己申告で、裏づけはありません。

FAQよくある質問

『死なばもろとも』はどんな本ですか?

暴露系YouTuberとして知られたガーシー(東谷義和)さんの自伝的な語りです。国外へ出た経緯、アテンダー稼業、暴露に至った動機が、全編関西弁で語られます。

書かれている内容は事実ですか?

著者の一方的な主張で、当サイトでは検証していません。実在の人物や出来事についての記述は、鵜呑みにしないでください。

いつ出た本ですか?

幻冬舎の単行本で、2022年7月に発行されました。電子版は単行本が底本です。

「アテンダー」とは何ですか?

本書では、会いたいという需要に応えて場を作り、問題が起きれば裏で処理する黒子のことだと説明されています。著者は女衒とは違うと述べていますが、これは著者の主張です。

著者はなぜ国外へ出たのですか?

本書では、2021年12月に告発され、集めた金を賭け事で失っていたことから、逮捕を恐れて引渡条約のない国へ出たと語られます。いずれも著者自身の説明です。

この本からビジネスや生活で学べることはありますか?

預かり金に手を付けないこと、高額な貸し借りは書面と第三者を整えることなど、失敗例としての学びが中心です。連絡先を属性で管理する顧客管理の基本も語られています。

本書の違法行為の記述は、肯定されているのですか?

この紹介は、詐欺、違法賭博、反社会的勢力との関わり、国外への逃走などを、勧めたり肯定したりするものではありません。「国外なら日本の法律は及ばない」といった本書の見方は、参考にしないでください。

ギャンブル依存や借金の悩みがあるときは、どうすればよいですか?

一人で抱えず、専門の相談窓口や身近な人に話してみてください。本書にも依存の内側や借金の話が出てきますが、解決策の手引きではありません。

付録の夜遊びガイドやグルメガイドは紹介されていますか?

付録として付いていますが、この紹介では内容を省いています。

MONOGENIC伊丹谷のブログから

ご注意:本書は著者の一人称の自己申告で、実在の人物や出来事の記述は、当サイトでは検証していません。違法行為(詐欺、違法賭博、反社会的勢力との関わり、国外への逃走など)を、勧めたり肯定したりするものではありません。「国外なら日本の法律は及ばない」といった本書の見方は、参考にしないでください。ギャンブルや借金、自殺念慮で悩んでいる場合は、専門の相談窓口に話してみてください。

Kindle版をAmazonで見る

本文は書き写さず、自分の言葉で紹介しています。内容に誤りがあれば、本でご確認ください。 当ページのリンクはAmazonアソシエイト(広告)です。詳しくは広告について。

SIMILAR似たテーマの本